12/25 The ピーズ@紅布

日が暮れても彼女と歩いてた

ピーズの曲は外で聴くのが好きだ。
MDウォークマンに詰め込めるだけ詰め込んで、自転車をこぐ。
一番好きなのは、電車に乗っている時。
窓からゆっくりゆっくり流れて見える景色に、よく似合う。
まだピーズを聴き始めた頃、ライブが近いからと出掛ける時にもピーズを聴きまくった。
冬の夕暮れ時、電車に乗って、向かいの窓の外をぼんやりと眺めていた。
ふいに目の前が滲んで、慌ててうつむく。
驚いた。決してしみじみと聴き入っていたワケではなかったのに。
ピーズの切なさは、夕暮れ時の切なさに似ている、と思う。
もしくは、刹那さ。


めずらしく最初から最後までテレキャスターを弾いていたアビさんの、足元の板張りの床は塗装がかすれていた。
しんちゃんのところ暗いね、と言ったはるくんに、しんちゃんは、点けると暑いからこのままでいい、と返す。
薄暗いステージで、斜め上に視線を落として、はるくんがはっきりと歌っていた。
「気が触れても彼女と歩いてた」
思わず見上げる。
繰り返し歌うはるくんを見ながら、刹那い、と思ってしまった。